私の父は板金店を経営しています。その板金店での話です。祖父の時代から使っている仕事場の為外装も内装もそれはそれは古くなっていました。そんな状態だったのである日、父が突然「暇だから壁の塗装をする」と言い出しました。建物の外壁は取り換えしやすい壁だったので塗り直すより新しくした方が良いのではと思っていました。しかし、父は一度決めたら頑固なので皆何も言いませんでした。まあ、塗装の方が安いのでそれで出来るならそっちの方が経済的にも良いのでやってもらうことにしました。仕事の合間や休みの日も使って数週間、毎日少しずつせっせと塗装をしていき、ついに塗装が完了しました。しかし、何日かずつで塗装を進めたのと壁のボロボロ具合ですごく汚い仕上がりになってしまいました。父1人で塗装を行っていたので時間と労力は凄くかかっているので皆文句も言えず。2ヶ月くらいそのままで営業していましたが、やはり父も仕上がりに後悔していたみたいでどうしようか悩んでいました。そんな時、たまたま塗装した壁の一部が納入業者さんのトラックによって壊されてしまいました。普通なら滅茶苦茶怒るだろうに、父は殆ど怒りもしませんでした。どうやら、この1件を利用して壁の取り換えをする口実にするみたいで、「壊れた所修復すると他と色や綺麗さが違うから全部替えてしまおう」と言い、すぐに業者さんを呼び取り換えてもらっていました。自分でやった塗装で仕事場が汚くなったことを悩んでいた父には正に渡りに船だったようです。先日、父にその話をしたら「あんな大変な作業をもうしたくないし、これからは専門業者に頼む」ともうコリゴリな様子でした。