夫の役割

夫の役割

私にとって、定年退職後の最初の仕事が家の塗り替え。
妻、「塗装業者さんに知り合いはいるの?」
私、「いるわけないだろ」
住んでいる家の名義は私になっているが、どこで家を建てるか、何を建てるか、メンテナンスなど、家のことも全て妻任せで生きて来た。
妻、「何をしているの?」
私が見ているのはパソコン、定年退職間近に部下にネットの見方を教わったため、家の塗り替えをしてくれる業者さんはネットで探す。
妻、「便利ね」
私、「そうだろ」
ネットがない時代は、足とコネを使って業者さんを探したものだが、ネットがあれば家にいたまま業者さんを探せる。
妻、「見付かった?」
私、「まだ」
ネットに出ている家の塗り替えをしてくれる業者さんは数多くあるため、どの業者さんに決めれば良いのか迷ってしまう。
妻、「業者さんが決まったら、どうするの?」
私、「どうするの?って、業者さんにお願いするんだよ」
妻、「どうやってお願いをするの?」
私、「ネットには電話番号も載ってるよ」
妻、「幾ら掛かるの?」
私、「幾ら掛かるかは、家によって異なるよ」
妻、「うちは幾ら?」
私、「うちが幾ら掛かるかは分からないよ」
妻、「塗り替えに幾ら掛かるか分からないのに、業者さんを決めちゃうの?見積もりを出してもらえば良いじゃない」
私、「どうやって?」
妻、「電話でお願いすれば良いじゃない」

見積もりのために来てくれたのは年配の業者さん。
業者さんの見積もり額は予算内だったため、家の塗り替えをお願いすると、
年配の業者さん、「ネットから申し込みをしたら、安くなりますよ」
私、「どうやってやるんですか?」
年配の業者さんに私が使っているパソコンを見てもらうと
年配の業者さん、「・・・」
私と妻、「・・・」
私、「直接、申し込んでも良いですか?」
年配の業者さん、「そうしてもらえると助かります」
パソコンを使って新しいことに挑戦してみたが、家の塗り替えは私が子供だった時と何ら変わっておらず、職人さんは汗だくになって頑張ってくれた。
妻、「貴方、職人さんに冷えたお茶を持ってって」
私、「君が持って来ないよ」
私は何もしないで家の中から職人さんの働きぶりを見ているだけ、私の父親がそうであったように。

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